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hirschkalb's blog

"I beseech you, in the bowels of Christ, think it possible that you may be mistaken."

気になったなら買う

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

 この旅行は、わたくしは大名旅行にしようと思う。いや、大名旅行というのは言葉の綾であって、つまり予算を立てない旅行、とでもいおうか。即ち、自分の一番泊りたいホテルに泊り、自分の一番いいと思うレストランで食事をする、好きな街を、心ゆくまで見物する、どうしても買いたいものがあれば、無理をしてもどんどん買う、ということです。

 時に勘定書を見て愕然とすることもあろうが、そういうことを通じて、物に動じなくなるとすれば、これは安いものではないか。

(「日暮れて道遠し」──『ヨーロッパ退屈日記』(伊丹十三著、新潮文庫)より)

はじめて《今週のお題》にのっかって、書いてみる(十三仕立てで)。

こういう人は案外多いのではないかと思うのですが、わたくしもまたその一人だった。

つまり、少々値の張る買い物に迷い、一度は取り消したとお考えください。しかるのちに、やはり諦めがつかず、ええいと勢いをつけて、当初の予定よりもっと高額な買い物をしてしまう、というものです。本人は、そのことにわりあい満足しておりますね。

今回はいちどは高級ホテルでの一泊を諦めかけたものの、諦めがつかず、冒頭の文章にも大いに背中を押され、結局、泊まりたかったホテル二件、それぞれ一泊ずつすることとなり、さらには、勢いづいて旅先での食べ物も買い物もけっこう好き勝手にやり、当初予算を大幅に上回ったけれども、しかしあなた、旅の思い出というのは経済学的には耐久消費財だそうですよ、これでこの先もこの思い出を愛でられるのだとすれば、ずいぶんよい投資であったと思うのでした。

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